「格安航空会社」への疑問~基準ってあるの?価格は?事故が起こりやすい?~
今月24日にドイツの航空会社ジャーマンウイングスの飛行機が墜落する事故がありました。
この事故のニュースでは繰り返し「格安航空会社」である点が紹介されます。
実家に帰省しているので、このニュースに関して家族とあれこれ意見を交わしています。
というのも、「格安航空会社」という紹介が繰り返されていることに何かもやもやとしてしまうのです。
昨夜はこんな話をしていました。
父「価格帯を安く設定した会社だから事故を起こした、というように聞こえなくもない」
母「安い価格で利用したいという人がいるのも当然。でもわざわざそういう情報を出す必要はないはず」
私「低価格のサービス利用者に責任の一端を背負わせる可能性もあるかも」
弟(高校の部活の合宿中に脊髄震盪を起こしドクターヘリで搬送*1されて一泊入院中だった)
それぞれの意見はこんな感じ。
(なお、弟は本日無事に退院しました。)
というわけで、今回の記事では「格安航空会社」への疑問について取り上げることにします。
◆そもそも「格安航空会社」って?
「格安航空会社」の「格安」の基準の有無は調べてもよくわかりませんでした。
そのため、低価格でのサービスを提供する航空会社が自称するものと思われます。
日本の航空会社だと下記の四社が「格安航空会社」に該当するようです(2015年3月末現在)。
(なお、2015年夏にエアアジア・ジャパンの再参入が予定されています。)
◆「格安航空会社」の価格はどのくらい?
自分が乗る可能性もある福岡―東京間の片道最安値を調べてみました。
<<福岡―東京 間(2015年3月末現在)>>
- Peach Aviation 片道最安値4790円
- バニラ・エア (福岡―東京間の便なし)
- ジェットスター・ジャパン 片道最安値4790円
- 春秋航空日本 (福岡―東京間の便なし)※佐賀―東京間で片道最安値5700円
日本航空(JAL)の「ウルトラ先得」を利用しての福岡―東京間の片道最安値が10800円、全日空(ANA)の「旅割75」を利用しての福岡―東京間の片道最安値が10300円であることを踏まえると確かに安いです。
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◆「格安航空会社」低価格サービス実現の秘密は?
低価格サービスを提供するにはコストを削減する必要があります。
多くの「格安航空会社」は以下のような手法を採用し、コストを削減しているようです。
- 運航コストの軽減。例)運航機種を一機種程度に統一
- 人件費の削減。例)乗務員訓練の有償化、制服の有償配布
- 機内サービスの簡略化。例)機内食や飲料の有料販売
- 航空券販売コストの削減。例)乗客自身による直接予約(旅行代理店を利用しない)
◆「格安航空会社」だから事故が起こる??
「格安航空会社」だから事故が起こる、ということはあるのでしょうか?
2010年以降の「格安航空会社」の飛行機事故に限るって調べると、3件の事故があったことがわかりました。
2010年
エア・インディア・エクスプレス(インド)812便墜落事故
(原因:機長が不安定なアプローチと着陸を継続)エアブルー(パキスタン)202便墜落事故
(原因:悪天候で着陸やり直しを試み、失敗)
コスト削減のために定期点検を怠っていた(あるいはずさんだった)可能性などを指摘する人もいますが、この3件だけをみると「格安航空会社」として運営しているがゆえの事故とは断定できない印象を受けました。
また、今回の事故では意図的な操作によるものだったのでは?という可能性も指摘されています。
「格安航空会社」である基準は調べたところではっきりしませんでした。
そのため、この情報を繰り返し報じなければならない理由はないのではないかと考えます。
かといって「『格安航空会社』と繰り返し報じるのはおかしい!」と抗議するほどの反感を抱いているわけでもありません。
事故の詳細がわからないうちは、さまざまな憶測が飛び交います。
その状況下でなるべく正確にものごとを判断するためには、情報をきちんと精査することが重要です。
「なぜ」「どうして」と考えるとき、ある一つの情報が多くの可能性を見えなくすることのないようにする必要はあると思います。
今回の場合だと、「『格安航空会社』だから事故が起きたんだ!」とすぐに決めつけない、とか。
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▲昨朝のニュース番組に出演していた航空評論家の青木謙知さんの著書が出るようです。母親が「この人の似顔絵なら絵のへたくそな私でも描けちゃうぞ!」とはしゃぎながら似顔絵を描いていました。この本買おうかなあ。
というわけで今回は「格安航空会社」の疑問に関する記事をお届けしました。
調べてみて本当に安いことがよくわかったので、いつか利用することがあるかもしれません(笑)。
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*1:弟は今回で二度目のドクターヘリ搬送。昨年夏に脊髄損傷のため搬送された。後遺症が残らなかったのが不幸中の幸い。