ミチクサダイアリー

飽き性を克服するべく、もう一度だけ挑戦することにしました。ブログ。

遊びから見る、こどもに押し付けられた「性」~レッドだと「おかしい」??~

手が空いた時間に新着記事を片っ端から読んでいたんですが、
とんでもない内容のものを見つけたので、これについて言及してみようかなと思います。


目を疑う内容でした。
いつもは他人の記事を真っ向から叩くことはしないんですが、
筆者のプロフィールに

ロック、その他音楽、エンターテイメント、文芸、アート、デザイン、哲学、精神分析学、臨床心理学、精神医学、政治、教育、などに興味あり。

とあったので、この方の為にも今回はキツめに突っ込みを入れてみようと思います。

まず記事を読んで「この記事を書いたのは本当に女性??」と少し驚きました。
私に偏見があるのかもしれないので、これについて深く考えることはしないでおこうとは思いますが…

なぜそのように感じたのかというと、この部分。

そう、女の人は小さい頃から愛情を注ぎたい生き物なのですね。
そこに、見返りなどいらないのです。

男の人は、いつまでも誇り高く、冒険する勇気を持ち、エロく、時に弱く、少年のようでいてください。
そんな愛すべき人に、女の人は注ぎたいのです。(上記事から引用)

これより前の文章には、男児向け・女児向けのおもちゃについての言及があります。
著者の方は女性とのことで、自らも「ライオンのぬいぐるみ」をお世話していたな、と振り返っています。

が、そこでいきなり出てくるのが「女の人は愛情を注ぎたい」「男の人はエロく」という表現。
それまでの文章のどこを受けてどうなっているのかがさっぱりです。
性の話題を取り上げないまま、いったいどうして「男の人はエロく」が導けたのやら…。

いや、仮に性の話題を取り上げたとしても「男の人はエロく」は導けませんけれども。
「男の人はエロく」=男の人は性欲が強い という言説は、性犯罪を犯した男性を容認する際にも用いられます。
そのため「書いているのはほんとうに女性なの?」と思ったわけですね。まあ真相は闇の中です。

 

そもそも、なぜ男児が「トミカ」で遊び、女児が「メルちゃん」で遊ぶかといえば
親が男児には男児向けとされるおもちゃ、女児には女児向けとされるおもちゃを買い与えているからです。
これ、忘れている人が結構いるので強調しておきます。
幼い子供は自分ではおもちゃを買えません。おとなが選んで買い与えたもので遊びます。

もし女性であるなら思い出していただきたいのですが、
あなたはなぜ「ライオンのぬいぐるみ」のお世話がしたかったのですか?

フランスの社会学ロジェ・カイヨワが唱えた「遊びの四要素」によれば
遊びには「競争」「偶然」「模倣」「めまい」の4つがある そうです。

「ライオンのぬいぐるみ」をお世話していたのは愛情がどうのこうのではなく
単にあなたをお世話している周囲のおとなの模倣、言うなれば「ごっこ遊び」をやっていたのでは?

そして、男児向け・女児向けのおもちゃをそれぞれ男児・女児に買い与える親は、
男児・女児に合っていると思われる遊びをしていることについて評価をします。

「やっぱり男の子は戦いごっこが好きだね」とか「女の子は小さくても母性があるんだね」とか。
そんなものあるわけないでしょう!!!
男児向け・女児向けのおもちゃなり番組なりを親が選定して見せた結果そう見えるだけです。

「あるわけない」と断言できるのは私自身がそうではなかったからです。
私の両親はちょっと変わっておりまして、私がどんな遊びをやっても疑問に思いませんでした。

私が親から買ってもらった記憶が間違いなくあるおもちゃで、特に思い入れがあるおもちゃを3つがこれ。

私が買ってもらったおもちゃは男児向けのものの方が多かったように思います。
セーラームーンは大人になるまで一度たりとも見たことがありませんでした…

長いアンパンマン時代を抜けたあとは男児向けヒーローに憧れたものです。

が、幼稚園でのごっこ遊びでは、私の大好きな「メガレッド」や「ギンガレッド」や「ゴーレッド」に
女の子がなりきることは許されていませんでした。

幼稚園の先生でさえ私に「セーラーマーキュリーの方がいいんじゃない?」とか言ってくる始末。
よくて「ピンクにすれば?」とか。
「メガレッドは男の子にゆずろうね」「女の子じゃおかしいよ」とかさ。そっちの方がおかしいよ。
なりきり遊びでさえ自由にさせてくれないの、意味がわからない。
余談ですが、このあと幼稚園ではひとり遊びしかしなく(できなく?)なりました。

男の子を男の子に、女の子を女の子にさせているのは周りのおとなです。
すなわち、こどもに対する「教育」による成果です。

男児が生まれたら特に何の疑問もなく男児向けのおもちゃを用意したり、番組をいっしょに見たりしますよね?
そうしたら「遊び」としてごっこ遊びをやったりするんです。戦いごっことかね。
男の子の、あるいは女の子の「本能」がそのような遊びをさせているわけではありません。

女の子のなりきりレッドが登場したり、男の子のなりきりプリキュアが登場してもいいわけで。
それを「おかしい」とおとなが咎めることで、こどもに「性」を押し付けている。
「レッドは人気があるから順番にしようか」がすべてのこどもに適用されるべきだと私は思っています。

 

この方のすべてを否定しようと思って書いているわけではなくて、誤解を解いて欲しいと思って一生懸命書きました。
男だから戦いたいのではない、女だから愛するのではない。
もしそのように見えるのであれば、周りのおとながこどもにそれを「させている」のではないか。
ぜひ一度そういう眼差しでものを見ていただけたらいいな、と思います。